ダラットの風に吹かれて〜、日本語教師。

ベトナム在住16年の日本語教師、サイゴンからダラットに引っ越して、コロナ流行には翻弄されながらニャチャンとダナンを行ったり来たり。今はダラットに舞い戻り日本語教師引退後の生き方を模索中。

「墓じまい」をした。

今回の一時帰国で前からの課題だった、故郷の先祖代々の墓を「墓じまい」した。


私はベトナム在住10年余、田舎の家で一人住まいだった母は養老院に入って10年。母は元気だが足腰が弱ってきて自力での歩行が困難になりつつある。私は長男だが、兄弟姉妹は家を出て故郷を遠く離れて、今では故郷にはほとんど帰らない。そんな状況下で、時々母に会いに一時帰国するたびに先祖代々の墓が気になっていた。


帰るたびに墓参して、荒れて草も生えてる墓地を見ながら「今後どうしよう」と悩んでいた。今は母が元気だが、亡くなったらその後はもう私はこの故郷には帰れないと思っている。


そうなったら、墓の管理は誰がするのか?誰もいない。先祖代々の墓を荒れ放題にしておくのはしのびない。


そういう時に、田舎の中学生時代の同級生が宗派は違うが「永代供養墓」を作るのに関わった話を聞いた。先祖代々の墓は「墓じまい」をして、お骨をその「永代供養墓」に入れるのである。その時に一定の費用を払うが、その後はそのお寺のお坊さまが毎年定期的に拝んでくれるとのこと。


それで、「永代供養墓」「墓じまい」でネット検索すると色々な情報が出てくる。
「墓じまい」が大変な様子だった。どこがする?石材屋。費用は?様々。


そこで、今回の帰国で、その同級生に相談して、近くの同級生にも相談に乗ってもらい3人で知恵を出し合う。
檀家になってるお寺も最近「永代供養墓」を建てたらしい。ただ、まだ正式に公表してないらしい。費用はいくらか分からない。格式高いお寺だから50万円ぐらいするらしい…、との情報もある。


私はそのお寺には出入りしてないのだが、檀家だからまずは住職に相談しなければならないということで思い切って訪問した。

「総光寺」というお寺で、本家は信州の永平寺だとか。
親父の葬儀でお世話になった時には親子で読経をしてもらったが先代お亡くなりになり今は40代の息子さんが住職だ。


住職にお会いして、私の状況を色々と話した。そして、「永代供養墓」について聞いた。
やはり費用は30万円から50万円らしい。しかし、個々の納骨ではなくてみんな一緒にする方法だと費用は別途相談である。
私はその方法でお願いするようにした。


では、そのためには「墓じまい」をしなければならないが、作業は石材屋に頼むらしい、具体的に決まったら、作業の前に「魂抜き」の儀式を住職に頼むらしい。


ということで、まずは石材屋と話をしないといけない。
一旦自宅に帰り、また同級生と相談する。そうすると、同じ部落にその石材屋で働いてる近所の人がいるらしい。その人にその場で電話して話を聞く。やはり詳細は石材屋を紹介されたので、その場で石材屋に電話して話す。石材屋は翌日に墓の現場に来ることになった。


そして、翌日にその石材屋と墓で打ち合わせをする。その墓は自宅の裏手に小高い丘があり墓の場所は粘土質で急な坂道になっていて雨の日などは滑って危ないところだ。


古い墓なので、石塔は約30個ある。古い物は只の丸い石ころのような物もある。
本来ならその石を全て外部に持ち出す作業をしなければならないが、その作業には不適切な場所で費用も高くなるので、墓の隅に寄せて整理することにする。


それで、石材屋に費用の見積もりを依頼するが、その場で「10万円です」と言ってきた。流石に私は驚いた。作業は2人で1日で終わるぐらいの仕事だ。只、埋めてある骨を掘り出す作業が大変だが…。


墓石を墓地の隅に片付けて、一部の骨を掘り出す作業だが2人で1日で終わるぐらいの作業で10万円は高すぎる。費用明細を見積もらないでイキナリ10万はないだろう。5万円でできないか?というと、「じゃ、8万で」ときた。7万でやってよ。というと、それなら「他所に頼んでください。他所はもっと高いでしょう。」と言う。


私は、5月の連休明けにはベトナムに帰国しなければならない。そのためにあまり時間がないのである。「足元を見られた」と思ったが、仕方ない、その石材屋に頼むことにした。


住職に電話で石材屋と話をつけたので「魂抜き」の儀式を頼んだ。住職曰く「最後のお墓まいりですから、お花と線香と水を用意してください。」とのこと。


でも、日頃管理できてない墓地なので、事前に掃除をしようと実施したが、予想外に大変だった。普段は掃除もしてないので苔生した古い石もある。本来なら水洗いもしないといけない状況だが…。


そして、「魂抜き」の儀式が下の写真だ。約1時間で終わった。


そして、翌日は墓地の片付けの作業であるが、私は現場にお酒を1本(一升瓶)
持参して、あとはお任せにした。


夕方には、二袋の骨袋が届いた。それを後日、お寺の「永代供養墓」に収めました。


今回の作業が終わった頃には、無性に寂しい気持ちが込み上がってきた。
墓の整理(墓じまい)は自分の故郷を無くすような作業に思えて…。
その晩は、お酒を飲んで寝ましたが…。


私の母はこの「永代供養墓」に入ってもらいますが、私の骨はここには入らないでしょう。
ベトナムに骨を埋めるつもりですから。

ここに納骨をしてから、お寺と契約書を交わして費用を払いました。


なお、今回は順番が逆になったが、本来は役所に墓の移転許可を申請しなければならないのです。私の場合は時間がなくて、役所の手続きは納骨してからしました。(お寺が、丁寧に役所に事情を説明の電話をしてくれました)田舎の役所ですから…。


ということで、「墓じまい」という大仕事をしました。